昨日は、とあるWEBマガジンのインタビューを受けました。
普段はインタビューを「する」側ですが、昨日は久々の「される」側。
インタビューは、「私たち夫婦円満の秘訣」でした。
振り返ってみると私たちがこれまで夫婦としてやってこれたのは、私にはもったいないほどのできた夫だったからこそですが、それでも結婚生活をずっと穏やかに過ごしてきたかいうとそうではありません。
離婚するかしないか?真剣に悩んだことも何度かありました。
プチ家出をしたことも2回ほどあります。
結婚生活って、楽しいことやメリットもありますが、『修行』のようだと感じます。ずっと同じ異性と向き合って生活していくって、そりゃあ大変なものです。
見たくない現実を嫌というほど見せつけられます。
名女優・樹木希林さんは、夫の内田裕也さんのことを、生前こんな風に語っておられたそうです。
・「夫は私にとって提婆達多(ダイバダッタ)みたいなもの」
提婆達多とは、お釈迦様の弟子だったのですが、やがて反逆し、お釈迦様を殺害しようとまでした人物です。
そんな提婆達多に対し、お釈迦様は、
「提婆達多がいたからこそ、見えてきたものがある」とおっしゃったそうです。
樹木希林さんは、内田裕也さんをこの提婆達多になぞらえて、「自分を成長させてくれる、なくてはならないかけがえのない存在」だと考えておられたのです。
内田裕也さんといえば、逮捕歴3回。樹木希林さんと結婚されているのに、他の女性と付き合い、その女性へのストーカー行為をされて、樹木希林さんが記者会見で謝罪していたこともありました。
夫としてはとんでもない方ですよね。「なぜ離婚しないの?」と、樹木希林さんも何度も知人や友人に言われていたそうです。
樹木希林さんが内田裕也さんと夫婦で居続けたのは、「愛」や「執着」、「意地」といった感情からではなく、そういう深い考え方を持っていらっしゃったからなんですね。
私もこの樹木希林さんの考え方にはすごく納得できて、夫も同じように納得できると言っていました。
とはいえ、私は夫が内田裕也さんのようなことをする人だったら確実に離婚を選んでいると思います。いくら何でも限度がある…。樹木希林さんはやっぱりすごいと思います。
結婚、そして夫婦について、もう一つ、私にとってとても納得できることをおっしゃっている方がいます。
心理学者の故・河合隼雄先生が、ある著書の中でこう述べていました。
「愛し合っているふたりが結婚したら幸福になるという、そんなばかな話はない。そんなことを思って結婚するから憂うつになるんですね。
なんのために結婚して夫婦になるのかといったら、苦しむために、「井戸掘り」をするためなんだ、というのがぼくの結論なのです。井戸掘りは大変なことです。」
『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(河合隼雄・村上春樹)・新潮文庫
そして、何度も結婚をする人に関して、こう述べています。
「そういうのは大抵、井戸掘りを拒否しているんですね。井戸を掘るのはしんどいから、掘らないであちこち別の人を探しているけれど、結局、同じような人を相手にしていますよ。」
「昔の夫婦というのは、ただいろいろのことを協力してやって、それが終わって死んでいって、それはめでたしめでたしだったんですね。今は協力だけではなくて、理解したいということになっている。
理解しようと思ったら、井戸掘りをするしかしょうがないですね。」
『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』(河合隼雄・村上春樹)・新潮文庫
…この河合先生の言葉は、結婚生活をがんばろうという私の活力と支えになりました。今もとても支えになっています。
樹木希林さんのお話にも通じるところがあると思います。
今まさに結婚生活や夫婦生活にトラブルを抱えていて深く悩んでいるという方は、「離婚」という選択肢もアリですが、樹木希林さんのお話や河合先生の言葉に少しでも何か思う部分があるのなら、「もう一度夫婦としてやっていく」ことも選択肢に入れて考えてみられてもいいかもしれません。
仲良し夫婦と周りから見られる私たちですが、ここに至るまでにはいろんな争いや葛藤がありました、というお話でした。
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