今、『母と娘の関係が婚活や結婚に及ぼす影響』についての記事をいくつか書いている最中です。
で、色々調査しているのですが、最近、結婚しても実家にちょくちょく帰って親と過ごす『実家依存』の女性が増えているそうです。
親の方もそれを苦々しく思うことなく、むしろ大歓迎。
中には、娘が「離婚したい」と言うと、賛成する親もいるのだとか。
たまに娘が実家に顔を出す、たまに子育てを手伝ってもらう、ぐらいならもちろんいいと思うのですが、あまりに実家に依存しすぎたままというのは、やはり問題があると私は感じます。
まず、夫がちょっとかわいそうかな、と思います。
実際、妻が実家依存で、嫌な思いをしている男性は少なくありません。
「俺たちが結婚した意味って一体?」…そういう風にも思うでしょう。
マザコン男が女性から嫌われるように、マザコン女性や実家依存女性も、男性から嫌がられるのです。
妻の実家依存により、夫婦関係が破綻した、もしくは破綻の危機に陥っている家庭もあるようです。
もう一つ、実家依存だと、女性が成長できません。
夫婦というのは、なんやかんや色々あるものです。
そりゃ、楽しいことよりも、うまくいかないことや、争い事や諍いになってしまうことの方が多い。
思い通りに行かないことが多々あるから、コミュニケーションを工夫したり、2人でより快適に過ごすためはどうしたらいいか?を考え、相手を理解しようと努力します。
そうして、人間的に大きく成長していきます。
居心地のいい環境、いつでも戻れる環境が用意されているということは、そういう工夫や努力の機会が奪われている、成長の機会が奪われているということです。
かくいう私も、結婚して一年ぐらい経った頃、夫と激しい喧嘩をして、ボロボロに傷ついて、どこにも行くあてがなく、実家に帰ったことがあります。
修復不可能だと思えるぐらいの夫婦喧嘩でした。実際、私は離婚しようと思っていました。
実家に帰った時、最初、母親は心配しながらも歓迎してくれましたし、私の味方をしてくれましたが、父親は苦い顔をしていました。「今すぐ帰れ!」とまでは言いませんでしたが、私が帰ったことを快く思っていないのは明らかでした。
父がそんな態度なので、母も私を表立っては歓迎できないし、味方もしません。
そして、父は、あろうことか夫の方をかばい、私を「お前も悪い」と私に言ったのです。
その時はショックでしたが、あれは父なりに私のこと考えて言ってくれた言葉なのだと、今ではよく分かります。
父親が実家に帰った私を母親と共に大歓迎し、夫のことを責め、離婚に賛成していたら、もしかしたら私は夫との再構築を諦め、本当に夫と離婚をしていたかもしれません。
夫とあの時離婚していたら、息子には出会えなかったし、成長していなかったでしょう。
40歳目前の今になっても、実家に精神的に依存する痛い大人になっていたかもしれません。
親子と夫婦の関係性について、心理学者の故・河合隼雄先生の本には、以下のように書かれています。
「夫婦の絆は親子の絆と十字に切り結ぶものである。新しい結合は、古いものの切断を要請する。若い二人が結ばれるとき、それは当然ながら、それぞれの親子関係の絆を切り離そうとするものである。一度切り離された絆は、各人の努力によって新しい絆とつくりかえて行かなければならない。この切断の痛みに耐え、新しい絆の再生への努力を分かち合うことこそ、愛と呼べるのではないだろうか。それは多くの人の苦しみと痛みの経験を必要とするものである。」
『家族関係を考える』河合隼雄 講談社現代新書
結婚をしたら、実家とそれまでと同じような関係でいられない、いてはいけないのだと思います。
『新しい関係性』で付き合っていくよう夫婦で努力しなければ、夫婦の絆はいつまで経っても強くならない、ということではないでしょうか。
親子であっても、というより、親子であるからこそ、心理的距離を持つことは意識したいものです。
子どもの立場はもちろん、親の立場としても…。
私の場合は息子ですが、男の子であっても同じですね。息子が成長した際の話ですが、結婚してからは特に、実家依存させないよう、気をつけたいものです。
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