大阪市西区の地域情報誌Fit-inよりご依頼を受けて書いた不登校に関するコラム、春号にて後編が掲載されました。
前編すごく反響があったようで、不登校の子を持つお母さんから「本当にその通りで、涙が出てきました」というご感想や、小学校の教頭先生から「すごく考えさせられました。親御さんたちにとってもあのような発信は支えになるしありがたいです」といったご感想が寄せられたそうです。
後編の掲載内容を以下に転載します。
***
前号(前編)では、『子どもが不登校になった際に親にできること』について述べました。
原因探しには意味がないこと。大事なのは、子どもの話を聞いて気持ちに寄り添ってあげること。子どもを変えようとせず「ありのまま」のその子を受け入れてあげること。
とはいえ、不登校は、親もとても苦しいものです。学校とのやり取り、世間の声、周囲の目…。プレッシャーと焦りから、子どもに『変わること』を求めてしまいます。不登校は、親の苦しみについて理解を深め、受け皿となる場所について考えることも大切です。
昨年12月28日、『元不登校児のお茶会in大阪』に参加しました。愛知県豊田市在中の元不登校の青年とそのお母さん(兼重颯人さん・兼重日奈子さん)が、不登校に苦しむ方のための居場所作りとして始めたお茶会です。
お茶会では、不登校のときのお二人のお話を赤裸々に語ってくれました。
颯人さんが不登校になった経緯。
親や周囲から言われて苦しんだ言葉。
救いになった人や場の存在。
不登校の親子の関わり方。
日奈子さんは、颯人さんが不登校になったことで、悩み苦しみながらも、それにとらわれず社会との繋がりを持ち続けました。
そのうちに、「(子どもの不登校を)何とかしないと」と思うのをやめることができました。
そして、颯人さんに『変わること』を求めなくなりました。
颯人さんは、「今のままのあなたでいい」「変わる必要はない」という心からのメッセージを、日奈子さんや周囲の人から受け取れたことがきっかけで、「ようやく現状を変えていこうと思えた」そうです。
お茶会では、簡単なワークを通じて子どもの気持ちを知り、参加者同士で現状や心情を分かち合うことができました。
不登校の子どもが社会と自ら繋がりを持つことは難しいですが、かつての日奈子さんのように、親が社会と繋がりを持つことは可能です。
親が孤独になると、子どもの世界をますます狭めてしまうことになります。
不登校の子を持つ親が、苦しい胸の内を打ち明けることができ、受け入れてもらえて、「苦しいのは自分だけじゃなかったんだ…」という安心感を得られたら、子どもの気持ちに寄り添うことができるでしょう。ありのままのその子を受け入れる心の余裕も、少しずつ生まれてくるのではないでしょうか。
颯人さんは、お茶会の中でこんなメッセージも伝えてくれました。
「親が、自分のことで悩んで苦しそうにすればするほど、子どもの辛さは増します。親のせいで不登校になったわけではないから、思い詰めないでほしい。親が楽しそうにしていたら、子どもの気持ちも楽になります。」
どうか、親子だけで閉じた世界にとらわれてしまわないように。
世間一般の『普通』『常識』にとらわれてしまわないように。
社会や教育現場の方も、アップデートしていく必要があるでしょう。
「学校に行かせること」「学校に来させること」をゴールにするのではなく、その子がその子らしく生きられる環境や居場所作りについて、大人たちみんなで考えていきませんか。
***
このコラムは、兼重日奈子さんと颯人さんとの出会いがなければ書くことができませんでした。
お二人にはお話を聞かせてくださり、心から感謝しています。
【お茶会の様子】
兼重さんへのお茶会等のお問合せ、ご要望はこちらへ。(東京で7月にお茶会開催されるようです。)
info@kaneshigehinako.com
【前編の内容はこちらから】
この記事へのコメントはありません。